
真夏にひとときの春を感じさせる大西洋の楽園
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高城未来研究所【Future Report】Vol.735(2025年7月18日)近況
今週はカナリア諸島にいます。
アフリカ大陸北西沿岸から約100km、大西洋上に浮かぶ7つの主要な火山島からなるスペイン領の群島カナリア諸島は、EUでありながらも行政的にはカナリア諸島自治州を構成し、ラス・パルマス・デ・グラン・カナリアとサンタ・クルス・デ・テネリフェの2都市を共同州都とし、通貨はスペイン本土同様ユーロを使用しています。
カナリア諸島は「常春の楽園」と称されるほど、一年を通して温暖で過ごしやすい気候が特徴で、亜熱帯気候と砂漠気候が混在し、年間300日以上が晴天!
平均気温は冬17℃、夏24℃前後と大変過ごしやすく、降水量も非常に少なく日照時間も長いため、ヨーロッパ各地から太陽を求めて多くの人々が訪れます。
大西洋の寒流や貿易風の影響で、真夏でも爽やかな風が吹き抜け、海水温も年間を通じて安定しており、「全地球上で最高の気候」と言う人も少なくありません。
カナリア諸島は年間1500万人以上が訪れる世界有数のリゾート地で「欧州のハワイ」のように言われていますが、各島ごとに個性的な自然と文化があって、この星の気候と風景のすべてがあると言われるほど多彩な大自然が魅力です。
スペインに13ある国立公園のうち4か所がカナリア諸島にあり、火山地形、太古の森、砂漠、青い海岸線など、これらを活かしたアクティビティも豊富で、ハイキング、サーフィン、ダイビング、クルーズ、星空観察などがたっぷり楽しめます。
特に温暖な気候と豊かな自然環境は、欧州各国からの長期滞在者やリタイアメント層にも人気です。
ビジネス的には、カナリア諸島はスペイン本土とは異なる「カナリア特別区(ZEC)」という経済特区に指定されており、法人税率が4%と、欧州標準に比べて圧倒的に低いのが特徴です。
今年の夏、バルセロナで開催している「ノマドアカデミー」でも該当と思われる方々にオススメしており、ZEC企業として登録できるのは、金融業を除く製造業、商業、サービス業など幅広い分野で、欧州やアフリカ、南米との中継拠点としても機能しています。
時差の面でも、カナリア諸島は西経13度から18度に位置していることから、地理的にはUTC-1の範囲になり、EUを出てしまった英国と同じ時間帯のため、スペインでデジタルノマドビザを取得し、ここに一定期間滞在するイギリス人が急増中です。
すでに観光客や中期滞在者を含めると、年間500万人以上がイギリスからのゲストになっています。
また、カナリア諸島は映画・映像産業の誘致にも積極的です。最大40~50%というスペイン国内最高水準の税制優遇措置があり、島内での撮影やプロダクション活動に対するリベート制度が充実しています。
これにより、ハリウッドや欧州各国の映画・ドラマ、CMなどのロケ地としての需要が急増中。島の多様な自然景観(火山、森、海岸、都市)や安定した天候、インフラの整備も後押しし、映画産業は観光と並ぶ新たな成長分野となっています。
こうしてカナリア諸島は、温暖な気候と豊かな自然、ユニークな経済特区制度、そして映画産業誘致など多面的な魅力を持つ「大西洋の楽園」なのは間違いありませんが、同時にアフリカからの移民が押し寄せるEUの入り口になっている側面も見逃せません。
この件に関しては、欧州中がこの地を、文字通り「カナリア(警告)」の役割を果たしていると見る向きがあります。
ツーリズムと産業振興が共存し、EUでありながら、アフリカ・アメリカ大陸を結ぶハブとして、今後もその存在感を高めていくだろうカナリア諸島。
久しぶりに訪れましたが、真夏にひとときの春を感じます。
(これはメルマガ『高城未来研究所「Future Report」Vol.735』の冒頭部分です)
高城未来研究所「Future Report」
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
高城剛 プロフィール
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。