残暑の中で日本だけに定着したマスク文化を考える
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高城未来研究所【Future Report】Vol.637(2023年9月1日)近況
今週は、東京にいます。
久しぶりに東京に戻ると暑さにも驚きますが、いまだ新型コロナ関連の報道とマスクして通勤する人たちの多さに、なにより驚いています。
現在、世界で唯一新型コロナの感染拡大が起きているのは日本だけで、報道によりますと「第9波」である現在の患者数(1週間平均)は約1万人に上り、第8波の入り口だった11月上旬と同じ規模であると報じています。
この状況は、通常より多くの患者が一定期間に急に増える「エンデミック」と呼ばれ、地域や国、大陸を超えて広範囲で同時期に発生すると「パンデミック」(世界的大流行)と異なり、感染症の患者が一定の地域で一定の季節に繰り返し発生することを意味します。
今回の「第9波」では、オミクロン株の亜系統であるXBBシリーズが感染拡大しているとのことです。
特に都心を少し離れると、通勤時間にマスクをしている人の多さにタイムスリップ感があるほどですが、単にXBBシリーズの予防という点だけではなく、一度決めたことはなかなか変えない日本独自の文化のように思えてなりません。
調査結果を見ますと、コロナ感染対策以外の理由でマスクをしている人が大半で、着用している理由は、「習慣化」「マナー」「同調圧力」などの回答が50%を超えています。
また、これは私見に過ぎませんが、米国や欧州では口元を隠すことは表情を隠していると思われる一方、日本では目に表情の基本があると考えられている違いがあるように思います。
例えば、日本だけで通じる顔文字「(^^)」のように、目の変化で感情を表しますが、同じ「笑顔」を意味する英語圏の顔文字は「: )」(時計回りに90度回転させて見ると笑っているように見える)など、口元で感情を表すのが一般的です。
このような表情の重きを目に置くか口元に置くかの違いも、日本のマスク着用率や欧州や米国のサングラスの着用率に大きく関係しているよう思えます。
いまから約100年ほど前、スペインかぜが流行した際、欧米では定着しなかったのに、日本だけは定着したマスク文化。
ポストコロナ時代と言われる現在、一番変わったのは真夏のマスク着用率かもしれないな、と考える今週です。
どちらにしろ、残暑厳しいとはいえど、念の為ビタミンDの摂取は忘れないようにしましょう。
(これはメルマガ『高城未来研究所「Future Report」Vol.637』の冒頭部分です)
高城未来研究所「Future Report」
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
高城剛 プロフィール
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。