映画は誰でも作れる時代
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高城未来研究所【Future Report】Vol.647(2023年11月10日)近況
今週は、東京にいます。
いよいよ明日から「ケト・サピエンスは牧草牛の夢をみるか」の劇場公開がはじまります。
いまから4年近く前、このメールマガジンで監督や撮影スタッフを募集し、なかにはカメラすら触ったことがない読者もいらっしゃいましたが、いままでにない撮影方法を編み出し、チーム一丸となって沖縄ロケからスタートしました。
完成順序的には、昨年公開しました「ガヨとカルマンテスの日々」(https://www.amazon.co.jp/dp/B0B6B1CBKK)が先になりましたが、実は先にクランクインしたのは本作で、長引くパンデミックの影響から撮影が進まず、当初の公開予定から一年押しで(昨日まで作っていたのですが、、、)、この度、無事完成となりました。
ご協力をいただいた皆々様に、この場を借りて感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。
前述しました「いままでにない撮影方法」とは、それまで「業界」では当たり前だったシネマカメラではなく、ヨドバシカメラなどの家電量販店で誰でも購入できるカメラとレンズを使い、大作映画と同等、いや、それ以上の画作りを行うことや、一度に複数台(最大10台)のカメラをまわす手法など、通常の映画やドキュメンタリーはもとより、ハリウッドでも用いられない「いままでにない撮影方法」を駆使し果敢に挑みました。
また、編集やカラーグレーディングやコンポジティング、音楽制作も一切のスタジオに入らず、どこでも作業ができるMacBook Proだけで行い、特権職人以外は触れることができなかった映画撮影システムの民主化を目指しました。
この背景には、時代は急速に「個人動画の時代」を迎えたからに他なりません。
数年前まで映像制作といえば、大型なシネマカメラに何人もの技術者がついて運用するのが常でしたが、YouTubeなどの勃興と共に、カメラメーカーや家電メーカーが、カメラの動画機能の開発に尽力します。
その結果、それまで数百万円から1000万円以上したシネマカメラと遜色がない安価な「ゲームチェンジャーともいうべきカメラ」が続々と登場。
事実、極北から南米奥地まで持って歩いたARRI、RED、SONYなどの僕のシネマカメラは、次々と売却もしくは倉庫行きとなりました。
こうして、誰でも家電量販店で購入できるミラーレスカメラとMacBook Proだけで映画を作る「NEXTRAVELER FILMS」が本格的にスタートし、はじめて読者の皆さんと撮影現場にご一緒したのが、本作「ケト・サピエンスは牧草牛の夢をみるか」なのです。
また、楽曲制作からサウンドデザイン、サラウンドに至るまで、音響全般も読者の方々と作り上げた、僕にとって大変思い入れのある一作となりました。
知っているようで知らない和牛のルーツを追いかけ、読者の方々と日本全国を巡る旅路に出ました。
美味しく健康的な牛肉とは、どんなものだろうか?
現代人に不足しているタンパク質と良質な脂を含んだ牛肉を求め、日本全国、こだわりのある和牛生産者を三年かけて訪問し、ついにひとつの回答へと行き着きます。
この時代、映画は配信で十分かとお考えの方々も多いと存じますが、映画館で大きなスクリーンで楽しむのは格別で、実は配信版と若干カットが異なります!
なにより、写真は「プロ」しか撮れない時代がありましたが、テクノロジーが写真撮影を民主化したのと同様、もはや映画は誰でも作れる時代なんです。
ぜひ、その息吹を感じてください。
果たして、美味しく健康的な黒毛和牛は存在するのでしょうか?
世界に誇る日本の和牛はどの産地が最良なのか?
本当に美味しい和牛の秘密をいま解き明かします!
どうかご期待くださいませ。
(これはメルマガ『高城未来研究所「Future Report」Vol.647』の冒頭部分です)
高城未来研究所「Future Report」
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
高城剛 プロフィール
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売