古都金沢を歩きながら夢想する
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高城未来研究所【Future Report】Vol.652(2023年12月15日)近況
今週は、金沢にいます。
北陸新幹線が金沢まで開通してから8年しか経っていませんが、この間に宿泊施設はおよそ4倍になり、人口45万人程度の都市に毎年1000万人超の観光客が訪れる「観光バブル」が巻き起こりました。
パンデミック前の2019年宿泊客データを見ますと、金沢に訪れる5人に1人は外国人で、国・地域の傾向では欧州・米国・オーストラリアからの海外ゲストが他地域の二倍以上の35%と多いのが特徴です。
また、滞在先で消費する金額は国内客より海外ゲストの方が遥かに大きく、この8年間の金沢は、いわゆるアジアの「爆買い客」ではなく、成熟した先進国から来た「文化にコストを支払う客」によって支えられてきました。
個人的にいつも感じるのは、飛び交うイタリア語が日本の他地域より目立ち、両国とも古い文化と美味しい食事(とムラ社会)などがあるから、文化的社会的に通じるものが多いのだろうと推察していました。
金沢の人気観光地を見ますとダントツの一位が兼六園で、その半数程度が訪れるのが近江町市場と21世紀美術館、さらにその半数がひがし茶屋街を訪れており、決して見どころが多い街とは言えません。
しかも、これらすべては徒歩圏内なため主要観光地巡りは一日で終わってしまいます。
その後、海外ゲストは高速バスで片道1時間半〜2時間で行ける白川郷や飛騨高山へ早々に移動するか、京都へ向かう人たちが多く、平均金沢滞在日数は1.5日〜2日程度と短い滞在が問題でした。
そのため、オーバーツーリズムが起きる場所も限られており、いかに分散させ、新しい場所を提案して内外ゲストに長居していただくのかが、北陸新幹線金沢駅開業当初から課題として上がっていました。
そのための場所作りが、鼓門とは反対側の金沢駅西口再開発地域ではじまりした。
金沢に鉄道駅ができたのは明治後期で、他の城下町と同様、街の中心に鉄道を敷設できなかったため、なにもなかった現在の場所に建設します。
当時、裏玄関と言われていた金沢駅西口は、その後も100年近く放置同然の場所でしたが、新幹線開通にあわせて大開発が行われ、全国的に注目を集めることになりました。
事実、2014年基準地価上昇率が全国トップとなったのは金沢駅西口(広岡1丁目)であり、日本銀行金沢支店や北國銀行などのオフィスが次々に建設され、あっという間に金沢副都心が出来上がったのです。
そして、この地域の目玉のひとつとして日本最先端の予防医療クリニックが誕生します。
僕自身、このクリニックに足繁く通い、懇意になった理事長にお話しを伺うと、実は開業当初から理事長自身が難病を抱え、自分と同じ道をクライアントに歩ませないために、人生を賭してこの施設の開業に踏み切った経緯がありました。
そのクリニックの理事長がお亡くなりになってから、ちょうど一年が経ちます。
今回、一周忌をかねてお墓参りにお邪魔しまして、久しぶりに金沢の街へ訪れました。
僕が来年に予定しているヘルスケア・サービスをはじめようと思った理由は、いまや行き場をなくした僕やこの施設で散々お世話になった読者の方々のために、「もっと自身の健康の大切さと人生の素晴らしさに気がついてほしい」という長年理事長の薫陶を受けてきた想いからはじまりました。
どんな苦境でもいつも楽しそうにしていた理事長や、金沢の街でたっぷり楽しんでいるイタリア人を例に出すまでもなく、人生は誰もが目一杯楽しむために生まれ、そのためには健康でいることが何よりも大切だと日々実感します。
そのメソッドを探し求め、内外多くの地へ旅を共にした故人に思いを馳せ、いままでにないヘルスケア・サービスを目指そうと、古都を歩きながら夢想する今週です。
数日前まで金沢では日々20度まで気温があがり、小春日和とは言い難いほど強い日差しが差し込みましたが、朝晩は驚くほどに冷え込みました。
皆様、冬をたっぷり楽しむために、どうかご自愛を(必ずビタミンD3摂取を多めに)。
(これはメルマガ『高城未来研究所「Future Report」Vol.652』の冒頭部分です)
高城未来研究所「Future Report」
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
高城剛 プロフィール
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。