汚部屋の住人が勘違いしている片づけの3つの常識~「ヘヤカツ」のすすめ

2024/02/19 15時22分公開 / 2024/02/21 14時47分更新

※この記事は岩崎夏海さんのメルマガ「ハックルベリーに会いに行く」2014年11月7日号に掲載されたものです。



テレビの取材で何度か「汚部屋」のヘヤカツをしたのだが、そこで知った「汚部屋の住人が勘違いしている片付けの常識」というものをご紹介したい。


その1 汚部屋には「背の低い家具」が多い


まず一つ目は、「汚部屋には背の低い家具が多い」ということだ。

まず、ほとんどの汚部屋に座卓がある。そして座椅子や、座椅子タイプのソファーがある。さらに、寝る場所も布団やマットを床に敷いている。足つきのベッドでは寝ていない。

そういう背の低い家具に囲まれていると、部屋が広く見えてオシャレである――というのは、多くのインテリア本や雑誌に書いてある。だから、それを見習ってそうしている人が多いと思うのだが、しかしそのやり方は、部屋をとても汚しやすいのだ。

なぜかというと、例えば座卓に座っていると、床が「物置」と化していくのである。なぜなら、手を伸ばして丁度いい場所に床があるため、そこを物置にすることが合理的で便利だからだ。

しかしながら、そういうふうに床に物が置いてあると、そこの住人は知らず知らずのうちに「ここには物を置いてもいい」と認識するようになり、やがて床全てを埋め尽くすように物を置くようになるのである。

「割れ窓理論」というものがあって、人は、窓が割れている建物を見ると、知らず知らずのうちに「ここは汚してもいい」と思うようになり、より一層汚したりする。それと一緒で、床も、物が置いてあると「ここは汚してもいいんだ」と思うようになり、どんどんと汚すようになるのだ。

そういう悪循環を断ち切るために、座卓は足つきのテーブルに、敷き布団やマットも足つきのベッドに変えた方がいい。そうして床から離れて生活することで、汚部屋の進行を食い止めることができるのだ。



その2 汚部屋には「収納」が多い


続いて二つ目は、「汚部屋の住人は収納が多い」ということである。特に、箪笥やドレッサーなど、部屋に置くタイプの収納が異様に多い。

収納が多いと部屋が片付きそうに思えるのだが、実はそれは大きな誤りだ。汚部屋の住人というのは、収納に物を入れるとなんとなく片付いた気持ちになって安心し、以降、その収納物を見直そうとしないのである。そのため、やがて収納が足りなくなるのだが、するとまた新しい収納を買ってきて、それに物を放り込んで安心するという悪循環をくり返すのだ。

そうして、やがて部屋に収まりきらないくらい箪笥やドレッサーが増える。あるいは、部屋を棚が埋め尽くすような状況となってしまう。

そういうふうに収納は、人に物を捨てさせなくさせる強烈な副作用がある。だから、一定以上の数はむしろ持っていると害悪となるのだ。

そのため、汚部屋から抜け出す第一歩は、物ではなく、まずは「収納」を捨てることから始める必要がある。そうして、部屋の大きさに適した数に戻した上で、整理する。そうしないと、いつまで経っても物が捨てられず、従って汚部屋からも抜け出せなくなるのだ。

 


その3 汚部屋の住人は「機能的」で「合理的」


最後が、汚部屋の住人は「機能的」で「合理的」だということだ。どういうことかというと、少ない移動距離でいろんなことができるのである。

例えば、汚部屋の住人はこたつに座ったまま、テレビも見られればゲームもできる。ノートパソコンやケータイの充電器も近くにあるし、果ては湯沸かし器や冷蔵庫まであったりする。最後は、そのまま寝っ転がればそこがベッドにもなる。

そういうふうに、一つところで動かずに、そこで何でも事が済む。つまり、その部屋は機能的で、しかも合理的なのだ。

しかし、そういう機能的で合理的な部屋こそ、汚部屋と化す。なぜなら、部屋のその一角「以外」が活かされず、どんどんと腐っていくからだ。

それは、たとえるならレギュラー選手が固定化したスポーツチームのようなものだろう。試合に出る選手はいつも決まっていて、そこに競争はない。

すると、控えの選手は腐ってしまって、練習に身が入らなくなる。たまに試合に出ても、使い物にならなくなるのだ。

部屋もそれと一緒で、ある一ヶ所が快適だと、それ以外の場所がどんどんと「不快」になっていく。使いづらく、汚くなっていくのである。

そういう機能的な部屋は、たいてい部屋の四隅が汚れている。なぜかというと、部屋の四隅に行かないからだ。それで、どんどんと腐ってしまうのである。

そのため、汚部屋から抜け出すためには、部屋を機能的、合理的とは逆の、「非機能的」「非合理的」にさせる必要がある。例えば、必要なものを四隅に分配したりするのである。

すると、必然的に部屋の中を動き回らなければならなくなり、その分移動距離や時間がかかるのだが、しかしそれに伴って、部屋全体がきれいになる。腐った場所がなくなり、至る所が活かされるようになるからだ。

そういうふうに、汚部屋の住人は間違った常識に縛られ、自分でも気づかないうちに汚部屋となってしまっているケースがほとんどだった。

その悪循環を断ち切るためには上記の方法を実践したり、私の著書「部屋を活かせば頭が良くなる」や「50からの老いない部屋づくり」を見ていただければと思う。




部屋を活かせば人生が変わる

あなたのやる気の99%は、部屋の「流れ」が決めている!! 

いくらモノを捨てて掃除をしてもすぐに散らかり元通り。そんな自分に嫌気が指している人は多いのではないでしょうか。

本書では、たった一度モノを整理し「掃除の道」を作れば、努力なしできれいな部屋をキープできる画期的な方法を伝授。部屋は自分を映す鏡です。よどみのないきれいな部屋で暮らせばあなたのやる気はパワーアップし、人生も必ず輝きます!

部屋を活かせば頭が良くなる

さらに人の「脳力アップ」に焦点をあてたヘヤカツ本第二弾。

人の才能に大差なし。脳力は環境が育てます! あなたではなく、部屋が変われば、努力なしできれいな部屋をキープできる画期的な方法「ヘヤカツ」なら、部屋がきれいになるだけでなく、あなたの記憶力、発想力、プレゼン力もアップします!



「50からの老いない部屋づくり」

50代向けヘヤカツ本登場!自分の人生の棚卸しをしたい方、実家の片づけで困っている方のために。まずは「部屋」から見直してみませんか?(刊行:KADOKAWA)

マイノートの運営をしている夜間飛行のアカウントです。刊行書籍の紹介記事などを中心に不定期に記事をアップしていく予定です。https://yakan-hiko.co.jp/

コメント