消えていく現役50代
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少し前の話ですが、週刊誌や調査会社などで活躍している同年代の宴会が久しぶりにありました。ネットではみんな繋がって情報交換やネタ確認をしていて個別には会ったりもしてますからご無沙汰でも何でもないのですが、気が付いてみるとみんなで集まるのは6年ぶりぐらいでしょうか。6年前はみんな40代前半から中盤で、自分らのことを「中堅」と呼んで自嘲しておったのですが、6年も経つと… という感じです。
話題の口火を切ったのは、やっぱり中川淳一郎が狂ったことでした。製造物責任を問われましたが、いえあれは私の責任ではありません。津田大介も起用メディアが減ったよね、幻冬舎も見城徹さんが紙メディアを諦めて廃刊するよねといった悲しい話題ばかりが出る中、媒体を最前線で支えていた人たちの物故や健康問題、ボケ、離婚などもあって、まあ話題も尽きないんですよ。
で、普通の会社なら現場を外れて管理職になるのが当たり前の世界で、書き物の分野では締め切りに追われて徹夜を繰り返す編集者が続々と体調を崩し消えていきます。そう言えば、この会合を初めてやったときは15年以上前で、その際は週刊誌記者の名刺を持っていたり、地方紙ながら記者クラブに潜り込んで夜討ち朝駆け上等でネタ漁りをしていたり、元気にメディアを賑わせていた人たちが、一人減り、二人減りで、あの頃mixi()からFacebookに移ってきた戦友たちも、ちょうど3分の2が業界から消えてしまっています。あいつどうなった、誰か知ってるかとなって、身体を壊して地元に戻ったとか、海外に出たまま行方が分からないなど、人それぞれに主人公となる物語があるのだろうとは思うんですが、寂しいものです。
「生き残った」私たちも、前線に残って取材して切った張ったしているのは私や数人ぐらいで、残りは古巣の新聞社や雑誌社のリストラの影響でウェブ媒体に押し出され、そこで偉い人になったりセミナーを売り歩いたり頑張っているようですが、やはり前線に帰りたいという気持ちは皆さん強いようです。昔ほど媒体社の名刺で飲み食いできなくても、やっぱり人に会って話を聞いて、記事を出してはクレームをもらって法務部と一緒に善後策考えて、後から関係先から「記事にしてくれてありがとう」と言われて精神的報酬を得る、不安定な仕事でも「知ること」に興味を持つ皆さん特有の臭みがあるわけでして。
で、本稿に特にオチは無いわけですが、どの業界でも特有の「若い人にライター志望が少なくなった」「最近のコタツ記事は媒体社の恥」「最近のスクープ記事はリークネタばかりで取材がなってない」など、古代の壁画にあるような最近の若い者はという流れになるのであります。コロナバブルであれだけ儲かったウェブ媒体がいま身売り先を探しているという残念な話から、ずっと同じ媒体に働いていたらウェブ媒体のほうが稼ぎ頭になってそれは良かったのだが先が見えなくて困るといったジジイあるあるが続くあたりに、生き残りのむつかしさなどを改めて感じるのでありました。
消えてった面々を思い返すと、かなりが「紙の編集部で締め切り前の徹夜など無理をした人ほど50前後に壊れている」ように思います。みんな、どこに行っちゃうんだろうね…