親方に「負け戦ですけどどうしますか」と言える側近がいるのかどうか

2023/06/11 03時40分公開

 解散しないんじゃなかったのかよ!

立民、内閣不信任案を検討 首相、解散の是非判断へ #47NEWS https://www.47news.jp/9440913.html

 もっとも、立憲民主党も挑発して内閣不信任案を出したらブチ切れた岸田文雄さんに解散されてしまうと現段階で150人ぐらいしか候補者が立てられませんから、かかしでも立てとけというわけにもいかず勝ち切れない状況になってしまうかもしれません。

 また、完全に立憲民主党を仮想的にしている日本維新の会も、見た目の好調さとは裏腹に直近の情勢調査では言われているほど議席は伸ばせず野党第一党には程遠いところで着地するのではという見方も出ています。いまのところは。ここで上ぶれしても80議席に届くか届かないかといったところでしょうか。それでも充分なんだ倍増なんだと言われればそうですねって感じはします。

 他方、公明党に選挙協力を切られた自民党東京都連は刻々と悪い情勢が進展しており、この前調査かけてたら「都市部で前回投票した人」の岸田政権支持率は何と22%台、バイアス修正して25.6%でした。低い。不支持率は41.2%で、10増10減と相俟って都市部はかなり厳しい選挙戦になるのではないかと思っているところです。

 親方が「それでもやるんだ、国民に信を問うんだ」ということであれば、それはそういうご意志ですから尊重して対応を粛々と進めることになりますが、負け戦になる場所がはっきりしているのに具体的に何の手も打たずそのまま負けて現職閣僚も官房副長官も討ち死にしかねない状況というのは厳しいものがあります。まだ任期の半分も終えていない友軍を無駄な戦争でリスクにさらして潰しちゃうことになりますからね。

 東京選挙区こそ最大のリスクだと誰かが言ってましたが、本当にそのようになってしまったので厳しいなあ… とも思うわけですよ。この辺、東京でも5議席増の30議席となり、自民党が立てる小選挙区候補者は29人のはずが、まだなんだかんだ5つぐらい最終的に立候補者が決まってません。

早期解散総選挙はやめようぜという話|山本一郎(やまもといちろう) #note https://note.com/kirik/n/n7505179b0a27

 中でも、北区を中心とする新12区は、戦犯の一人でもある高木啓さんの公認出馬が有力視されていたものの、北区区議団をまとめ切ることができず横を向かれていて出陣式はおろか選挙事務所の開設もままならない状態だぞという話が来ていてみんなで頭を抱えていました。何してんだよ。端的な話、一般的に旧12区は公明党・太田明宏さんが長く守ってきた選挙区で、北区持ち上がりの高木さんが出馬できないので見送らせる方便で比例東京ブロック自民党単独1位とかいうあり得ないバーターで衆議院議員となっているわけですから、旧12区前職の岡本三成さんが新29区に異動し荒川区と足立区で頑張るとなれば、北区を牙城とする高木さんが新12区に出ない理由はありません。

 要するに、新12区では維新の阿部司さんがどうやら強いようだと思って負け覚悟でも鉢巻き締めて打って出るなんてことが、戦犯の誹りを一身に受ける高木啓さんにはできないってことですよね。しかも、北区区議団や都議周辺で、じゃあ俺が代わりに維新も共産も向こうに戦います、2敗しても粘って3回目には絶対勝ちますから公認してくださいなんて弾もなかなか出てこないのが実情で、でも筋論から言えば高木さんどうぞどうぞなんですよね。で、出ないと。

 で、一連の公明党との地に堕ちた信頼の責任者でもある自民党都連幹事長の高島直樹さん、なぜかまだ居座ってます。もちろん、本当にうっかり岸田さんが解散してしまい、たくさん東京で討ち死に者を出したら敗軍の将は兵を語らずで切腹なのかもしれませんが、普通は決別を言われて敗勢待ったなしの状況であればここで誰か騒いで高島さんの首を取っとかないと駄目です。少なくとも、選挙を前にして高島さん幹事長留任は無いわ。

 なんで「あいつが戦犯でしょ」って誰も言わないんですかね、自民党都連。ここで高島さんが腹を切っておかないと、選挙で負けて再起するタイミングで今度は萩生田光一さんが敗戦の責任を取ることになりますね。そうなると、小選挙区で勝って議席を守った東京都都連代表で大臣経験者って、小倉將信さんや丸川珠代さんしか残らんのではないかと思うわけですよ。ただ、うっかりすると小倉さんも丸川さんも小選挙区で敗退する可能性が少なからずあるので、東京都連が壊滅したうえで代表不在になる虞だってあります。

 それもこれも、一連の自公分裂のトリガーを引いた高島直樹さんがアカンのであって、内田茂さん亡きいまずっとニコイチで機能してきた人物を「用済みです」とするのは人としてしんどいのは間違いないんでしょうが、でも17都議選のこともありますし、そろそろいいんじゃないかとも思うんですよね。

 そういう状況ですので、常識的に考えれば「解散は無い」のですが、いろんなハプニングで親分がブチ切れて「上等だ! 解散!!」みたいになると、いろんなものが失われます。

 一番失われて困るのは、私にとっては家族と過ごす夏休みが台無しになることなんですけどね。ええ。

https://yakan-hiko.com/meeting/yamamoto/

https://www.youtube.com/channel/UCYngjP_3hOC-yu2A077rKbQ



 1973年、東京都生まれ。96年慶應義塾大学法学部政治学科卒業、新潟大学法学部大学院博士後期課程在籍。社会調査を専門とし、東京大学政策ビジョン研究センター(現・未来ビジョン研究センター)客員研究員を経て、一般財団法人情報法制研究所上席研究員・事務局次長、一般社団法人次世代基盤政策研究所研究主幹。著書に『読書で賢く生きる。』(ベスト新書、共著)、『ニッポンの個人情報』(翔泳社、共著)などがある。ブロガーとしても著名。

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