これもう決まっちゃってるんだろうけど、みんな頑張れ

2024/06/21 19時38分公開

 両陣営、フルで突っ張って頑張って初めて「当初の予想どおりでしたね」で終わるものだと思いますので、どうか油断なく最後までリキ入れて完走して欲しいと思います。

 で、いくつか気になっていることなど。

1) マスコミが蓮舫さん寄りの報道

 ある調査では、日ごろテレビを観て情報収集している都民が有意に蓮舫さん支持しており、他でも傾向としてテレビを観ている層が蓮舫さんを応援している状況が見て取れます。蓮舫さん支持は高齢者、男性、低所得、区部が厚いので、テレビを日常的に観る層と被っている面はあるのですが、そのバイアスを除いてもテレビを観ている低所得のおじさんに蓮舫さんは刺さっております。おそらくここが蓮舫さんのメイン支持層です。

2) 日本共産党支持が増える

 ここ半年の傾向として、東京都全体で見ると有権者が自民党支持から離れて無党派になってましたが、もともと無党派だった人が共産党支持に移る率が出てきていて、東京都下で共産党支持率は8%を恒常的に超えるようになりました。調査によっては10%を超えています。政権・自民党批判票として、自民党から無党派に、もともと無党派だった人が共産党支持に、という動きはかなりある者と思います。逆に、国民民主党や日本維新の会には無党派から支持層になる動きは見られません。

3) 外苑再開発の争点設定は不発

 告示前の情勢調査でもはっきりしていましたが、選挙戦始まって一発目で外苑再開発を重要な争点とする都民の割合が下がっています。しかも複数回答なのにざっくり20人に一人しか「争点だ」と思っていないのは、明らかに蓮舫陣営の争点設定ミスであろうと思います。しかも、立憲支持層の5人に一人、共産支持層の3人に一人という割合であって、あんまり引っ張らないほうがいいんじゃないでしょうか。ただ、一連の調査では各社もっぱら「争点と思わない項目」は調べていないようなので、足を引っ張っているかどうかまでは分かりません。

4) 地味に重要な論点になっている「防災」「格差・空き家対策」

 いわゆるレガシーネタやフリーアンサーでネットパネルの回答で有意に多いキーワードが防災、空き家対策、通勤事情です。コロナへの警戒感が終わったのでコロナ・感染症対策が争点として外れ、都心に住民が帰ってきたこともあって前回2020年よりもかなり都民有権者の興味はあるのではと思います。この辺を重視する人は小池百合子さん支持が厚いみたいですが、でもまあ現職ですから当然ちゃ当然と言えますね。

5) 大手調査会社、支持政党の項目に「都民ファースト」を入れ忘れる痛恨のミス

 どことはいいませんが雑な仕事で有名な某社、都知事選と都議補選の調査なんだから都民ファースト項目に入れとけよと何度も指摘していたのに外して調査して殺戮の梅雨を迎えています。ボク言いましたよね。こういう馬鹿が調査マネジメントをやっているからお前らは駄目なんだいますぐその窓から飛び降りろと言おうと思ったら告示の数日前にご家庭の事情でご退職していたようです。何してんだよ。

6) 都議補選関連

 割と大事なのはむしろこっちのほうなんですが、いまのとこ9議席補選のうち3勝できるかどうかって流れになっちゃってて責任問題じゃねえのと思っています。どうせ勝てないところはさっさと都民ファーストに譲ってみんなで百合子にぶら下がればいいのに無謀な戦いに挑んで袋叩きになって疲れるだけの選挙戦になるのもどうなのかと思いますが私のほうからは何も申し上げることはございません。

7) 仮に明日解散総選挙だったら

 そんなわけで、今回の調査がなぜこんなに無駄に大口になってしまったかと言えば、もちろん小池百合子VS蓮舫というマッチメイクの関心の大きさと9つもある都議補選の趨勢を見るというのもあるんですが、それ以上に10増10減で議席が5個も増えた東京小選挙区の予想もしたいってのがあるんですけど、選挙区ごとに割って調べてみても2月4月にやったアドホック調査(しかも片方は東京15区衆院補選のついでに調べたやつ)と大差ない結果になってお通夜であります。みんな政治とカネの問題にブチ切れてるので、創価学会の支援が命綱になっているんですけど、某党副総裁と幹事長が一緒になって「公明党案飲むぐらいなら自公連立解消で恫喝しろ、維新と組めば法案は通せる」などと言っちまった事例がありましてな…。

8) その他選挙トピック

 NHK党が24枚ポスター貼る場所売りに出したりエロ画像を掲載して警察に連れていかれたりいろいろあったみたいですが全体的に無風です。大型選挙ですから、馬鹿の20人や30人も出るのは仕方がないことだと思っておりますし、どっちにしろ公職選挙法はネット関連を中心に微修正するタイミングでもありますからガッツリ改正したらいいんじゃないですか。蓮舫さんの事前運動は気になりますが、藤吉修崇さんっていう知らない弁護士が東京地検に雑な感じで告発状は送ったらしく、あれだと門前払いかゼロ回答になっちゃいますかねえ、知りませんが。好きにやってください。

公約めいた文言の入ったビラを撒いていた蓮舫さんは公職選挙法違反にあたらないのか

盛り上がってまいりました…俺たちの東京都知事選挙2024 https://bunshun.jp/articles/-/71316

 そんじゃーね

 画像はAIが考えた『選挙をやるつもりがすっかり動物園になってしまってあきれ果てる都民の皆さん』です。


 1973年、東京都生まれ。96年慶應義塾大学法学部政治学科卒業、新潟大学法学部大学院博士後期課程在籍。社会調査を専門とし、東京大学政策ビジョン研究センター(現・未来ビジョン研究センター)客員研究員を経て、一般財団法人情報法制研究所上席研究員・事務局次長、一般社団法人次世代基盤政策研究所研究主幹。著書に『読書で賢く生きる。』(ベスト新書、共著)、『ニッポンの個人情報』(翔泳社、共著)などがある。ブロガーとしても著名。

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