
「国対」とかいう専門職
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何とも大変なことになっていますが、今回大きなストーンになったのは与党自由民主党の国会対策委員会が果たすべき役割についてです。
国対そのものは本会議や重要法案を扱う常任委員ですが、ここで他党との交渉役としてパイプ役を担うことになります。で、例えば国対委員長や委員長代理を務めるなどして他党とのパイプを作り上げた議員は、特に自民党において国対族として扱われて調整役をするんですが、対公明党に限っては、同じ連立与党だぞということで普通と違う環境にありました。
特に絶対安定多数のときは総裁・代表とで話し合うことも多く、例えば政治とカネの問題が騒ぎになったり、岡本三成29区問題が出たときなどは、ダイレクトに岸田文雄さんと山口那津男さんが最後に出てきて問題を処理するために手を握る、という話になります。逆に国対で頑張っている人は事前協議での前捌きをやることになり、浜田靖一先生などが出てきて処理しようにもトップでないと収拾がつかないよとなるわけです。さらに、浜田先生の前に東京都都連やら事前審査制で公明党さんと話し合える議員が前に立つなどしてどうにかするという話でしたが、それらはあくまで自公間での事前審査が通れば自民党総務会で揉まれた原案通り閣議決定され、それが圧倒的な議員数を擁する自公政権のもとでそのまま法律になり予算が付き施行されるという時代の話でした。
ところが、昨今の政治状況は石破茂政権背立直後の24衆院選で惨敗、続く都議選、さらに参院選と、大事な大型選挙で3連敗したことで衆参ともに少数与党に転落し、自公の話し合いだけでは政権運営ができなくなったことで従来見られなかったボタンの掛け違いがトップレベルでも、私らのような下足番雑巾掛け選挙対応どぶ板レベルでも発生するようになったのです。
そうなると、いわゆる旧来型の国対族の文脈で自公間の問題を調整するということではすみませんし、ましてや、公明党さんというか創価学会が問題視したのは政治とカネであり、よりによって、企業団体献金そのものを大幅に制限するか廃止するかという、自民党のいままでやってきた根幹のところに公明党さんが手を突っ込んできて「それをやめろ」という話なので、従前から自民党政治でやってきた重鎮ほど、心理的な抵抗感が増すのは当然のことです。今回エアポケットになったのは、本来ならばパイプ役として機能することが求められる人たちほど、公明党さんや創価学会の要求をただ聞いて帰ってくるだけでは、むしろその本人たちが自民党の大事なものを公明党相手に妥協した戦犯と扱われ失脚しかねないからに他ならないのです。
ただ、私も幹事長筋や党務で何度も説明申し上げましたが、自由民主党がいかに「それだけはやめてくれ」「自民党政治の根幹にかかわるものだ」と反対し抵抗したところで、書いた通り衆参で少数与党となり、公明党さんからもその問題は大事だから解決しろと突き付けられると、否が応でも政治資金改革法案を野党リードで出されて衆参で可決されてしまいます。自民党がどう思おうが、止まらないものは止まらないのです。なので、これは何とか回避せえと党務で厳命されても、前捌きの交渉役をする側からすると「それは無理じゃないですかね」という話になり、菅義偉さんも岸田文雄さんも打つ手なしの状態になります。
その対面にいるのは、創価学会の副会長を名乗る佐藤浩さんです。私は本当に佐藤さんが副会長なのか知りません。というか、佐藤浩さんは何の権限がどのようにあって公党たる公明党さんの代表・斉藤鉄夫さんや幹事長・西田実仁さん、窓口役の赤羽一嘉さんに連立離脱ありきの交渉をするよう厳命したのかよく分かりませんが、とにかく状況がそのようになってしまったので、10月7日夜に状況を聞かされたときは私も青くなりました。ただ、公明党さんからすれば党勢の衰亡があるとはいえ全国で500万票以上を集めている日本最大の政治団体であり、自公政権という大きな枠組みの中で与党の一角として貴重な機能を果たしてこられました。自公連立の解消というのはそれらの地位も権限も、さらには26年間の自公連立政権という実績と協調、情愛をすべて抜きにして一方的に離脱を佐藤浩さんから言われるという話ですので、何なのかなという思いはあります。
ところが、公明党さん筋だけでなく、創価学会にも乏しいツテを辿ってさまざまな役職の皆さまにお話を伺ってみましたが、政治とカネの問題は大事だとしつつも、連立離脱まで一足飛びに関係解消に動く意味も価値もないのでどうにかしてほしい、とほぼ異口同音に仰います。それは、裏を返すといままでの自民党政治で他党交渉の窓口役であった国対という機能の変容と同時に、かかる大問題を然るべき引き継ぎもないまま着任10日ほどの高市早苗総裁や新執行部にぶん投げていきなり重荷を担わせて本当に機能するのかという問題が横たわります。本来であれば、高市新執行部がトップ対応をするということであれば文字通り幹事長が陣頭に立ちお話をしなければならないところ、5日あたりの時点ではその対面に立っているのは選挙対策委員長に新しく指名された古屋圭司さんであり、先方窓口は竹内譲さんであるという情報がありました。ところが、その後青くなって情報収集するとそのパイプでの情報交換はほとんど実のある形では行われておらず、なんとなれば、古屋さん自身が式典かなにかで台湾に飛んでいてそもそも永田町にいらっしゃらないという話になって、なんだそれはということになるのです。
自由民主党にとって、公明党との連立によって得たものは大きかったが制約も厳しかったという点において、副総裁の麻生太郎さんをはじめ、選挙に強い長老ほど公明党・創価学会斬りを進め、良かったじゃんという反応になります。いや、あなたは選挙に強いから学会票やF票に依存しないというだけであって、党本部も慌てて木原誠二選対時代に調査をしていた「もしも公明党さんが選挙協力をしなかったらどのくらい自由民主党は議席を失う可能性があるのか」というシミュレーションを引っ張り出してきて概ね44議席程度を失う見込みである報告をさせていただくとようやく「これはまずいのではないか」という話になるのです。
とかなんとか書いてたらいきなり言いがかりのような電話がかかってきた。理不尽だ。やってられるかバーカ。
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