信託型SOの税率を給与課税する話と出口の東証にはちゃんとして欲しい話

2023/05/27 14時50分公開

 割と誤解が広がっているのかワイが知らされてきた話がポジショントーク過ぎて間違ってるのか分からんけど、関係先から「これ違わね」と連絡が来た。


https://twitter.com/cornwallcapital/status/1662094665473204225


[引用]

恐らく信託型SOの税率を給与課税にした所で増える税収なんかたかが知れてるわな。

参画者に夢を見てもらう事がスタートアップの活性化に資するのであって、それで減る多少の税収を必要なコストと認めて課税当局をゴルァ!するのが本気でスタートアップを支援する政治家の仕事やと思うねんけどな。

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ボヴ氏のこのツイを受けて哲戸さんがこれ。

https://twitter.com/pp_GIRAUD/status/1662187120969273346


[引用]

ここはロビーイングを間違えたかワザと嵌められたかで、いずれにしてもインテル他の90年台後半のSO訴訟以降に折角国税側が創設してあげた税制適格SOの世界観を完全に骨抜きにして恥かかせたのはまずかった、もはや見せしめに近い。

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 そして猪木先生がこれ。


https://twitter.com/igi3/status/1662243334104969216


[引用]

2つ目は、そもそも「早く入ってより大きなリスクを取った人が経済的により大きなリターンを得る世界観」の方がスタートアップの世界観として健全だが、信託型SOはこれに反すること。ミドルレイターで優秀な人材を取りたいならたくさん渡しましょう、優先株のバリューで渡すわけではないしねという話。

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 また、周辺の反応でもベンチャー企業などで採用が進む信託SOが、あたかも「事業でリスクを取った人に報いる制度」みたいな誤認が多かったのが印象的で、もともと話がこじれているのは制度的にお目こぼし的な税制適格SOのアプローチが海外事業者による制度ハッキングで台無しになり、高所得者(予定者含む)追跡の精度向上とともに強烈に所得捕捉されるようになったことなんじゃないか、と思っておるわけです。


 「全体の税制に比べて信託SOなんて微々たるものなのだから」というのもよく出る話ですが、コミケで作品横流しして所得つまんでる連中もギャラ飲みや相対売春で現金や物品手渡しで不正所得掴んでる30女も下は200万からお手紙もって玄関コンコンやるのが仕事なわけで、3年間4,000万の信託SO経由収入で手戻り650万なんて当然取りに来られるレベルと思います。


 また「氷山の一角だ」とか「有難い人材のモチベーションを下げて国から活気を失わせる官僚」などと書いてる人もいましたが、この点で言えばご存知の方も多いとは思いますがアメリカやオランダのほうが日本よりもはるかに厳しく、日本の徴税能力や高所得者捕捉のレベルを上げてくれとか注文がついているレベルです。いわば、日本は国税庁・税務署に人が足りてなくてマズい状況と言えます。全部が全部、悪意ある所得隠しだぞとか脱税の意図があって云々とは思いませんけれども、大口のものも今後はたくさん出てくる中で、アカン意図があったものは一罰百戒的に報道が出るのではないかなと感じます。


 で、当然信託SOですから、発行会社の時価発行新株予約権を役職員など割当先にに客観的な業績評価に基づいき新株予約権を配るスキームでありますので、行使された新株予約権で振り出された株式を株式上場したりしてパブリックに株券が流通してくれる状況になって初めておカネになる場合が過半ではないかと思います。


 そうなると、出口でこういうスキームが発生して株主ロンダリングしたつもりになって株式上場されてしまうと、オフィシャルに東証経由でマネーロンダリングの疑いまで見られるんじゃないのというところです。粉飾繰り返して某社完全子会社になったとはいえDLE社が筆頭やってるW TOKYO社が上場承認とか何を考えているのだろうという印象はぬぐえません。


東京ガールズコレクションのW TOKYO、何かとクセが強い沿革と大株主の逆風をはねのけ上場まで漕ぎ着ける

https://kabumatome.doorblog.jp/archives/66008812.html


 出口が緩くてブラックリストを上手く運用できていない印象が強い案件がとても多い日本市場で、投資家保護だけでなくFATF対応まで視野に入れてマズい奴は上場株を触らせないような手配をちゃんとやらないと信託SOどころではない問題が起きるような気がするんですがね。


 画像は「自分の蛇口からは少ししか水が出ないのに、他人の蛇口からドバドバ水が出ているのを見て、将来自分も水が出ると思って『この蛇口は水が出るぞ』と叫んでいる中年男性」です。


 1973年、東京都生まれ。96年慶應義塾大学法学部政治学科卒業、新潟大学法学部大学院博士後期課程在籍。社会調査を専門とし、東京大学政策ビジョン研究センター(現・未来ビジョン研究センター)客員研究員を経て、一般財団法人情報法制研究所上席研究員・事務局次長、一般社団法人次世代基盤政策研究所研究主幹。著書に『読書で賢く生きる。』(ベスト新書、共著)、『ニッポンの個人情報』(翔泳社、共著)などがある。ブロガーとしても著名。

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